全国内水面漁業協同組合連合会
奥日光湯の湖・湯川


第64回全国内水面漁業振興大会報告




 第64回全国内水面漁業振興大会を、令和5年10月12日に群馬県高崎市「群馬音楽センター」において開催しました。〜森からの きれいな水を 受けついで みんなで守る 大切な川〜(第22回全国川づくり標語コンクールの最優秀作品)をスローガンとして約470人が参加しました。

 群馬県漁連の新井雄二副会長理事が開会を宣言し、全内の谷公一代表理事会長の主催者挨拶、群馬県漁連の松元平吉代表理事会長より開催担当挨拶を行いました。

 来賓として、笹川博義衆議院議員、斎藤洋明衆議院議員(内水面漁業振興議員連盟事務局長)、片山さつき参議院議員(内水面漁業振興議員連盟副幹事長)、江島潔参議院議員(内水面漁業振興議員連盟副幹事長)、群馬県知事(津久井治男副知事代読)、群馬県議会の安孫子哲議長、高崎市の富岡賢治市長、水産庁増殖推進部の坂康之部長、国土交通省水管理・国土保全局長(河川環境課の豊口佳之課長代読)、環境省水・大気環境局長(環境管理課の筒井誠二課長代読)の皆様からご祝辞をいただいたほか、多くのご来賓にご出席をいただきました。

 来賓及び執行部紹介の後、議長団として群馬県漁連の松元平吉代表理事会長、茨城県内水面漁連の高杉則行代表理事会長、神奈川県内水面漁連の栗原信二代表理事会長の3名が選出されました。前年度議案の処理報告に続いて、全国6つのブロックから提出された7議案の発表があり、全て採択されました。その後、各議案に対して各省庁からコメントを頂き、群馬県漁連の中島淳志理事による大会宣言が満場一致で採択されました。

 最後に、群馬県漁連の戸部潔副会長理事による閉会の辞により盛会のうちに閉幕となりました。

 会場では、国立研究開発法人水産研究・教育機構による内水面に関する研究成果等のパネルが複数展示され、参加者の関心を集めていました。

 大会終了後は、会場をホテルメトロポリタン高崎に移し、全内の谷公一代表理事会長、群馬県漁連の松元平吉代表理事会長の挨拶に続き、中曽根弘文参議院議員(内水面漁業振興議員連盟会員)、城内実衆議院議員(内水面漁業振興議員連盟幹事長)、福田達夫衆議院議員、田畑裕明衆議院議員(内水面漁業振興議員連盟事務局次長)、尾身朝子衆議院議員(内水面漁業振興議員連盟会員)、清水真人参議院議員(内水面漁業振興連盟幹事)から来賓の挨拶を頂きました。全内の滑川幸男副会長理事の乾杯により、賑やかに懇親会が開催されました。

 次年度は、宮城県で開催する予定です。


◆◆◆ 提 出 議 案 ◆◆◆

議案の1
漁協経営の基盤となる第5種共同漁業権にかかる資源増殖について
東北・北海道ブロック(岩手県)
岩手県内水面漁業協同組合連合会 専務理事  石田 享一
【提案の趣旨】
 内水面漁業協同組合は、漁業法及び水協法に基づき、水産資源の増殖と漁場管理に努めているが、近年、河川の治水や利水、流域開発などの様々な事業が進められ、漁業生産の基盤となる河川環境が不安定で、漁協の組織や経営の維持が年々厳しくなっている。

 内水面漁協は水産資源の増殖をはじめ、教育や観光など公益的な性格を有するとされるが、地域で活動を続けるには、自助努力だけでは難しい局面にきており、資源増殖の一端を行政が担うなど、安心して事業継続できるよう、地域や社会で支える仕組みづくりを強く要望する。

議案の2
河川維持流量の設定について
中央ブロック(山梨県)
山梨県漁業協同組合連合会 参事 大浜 秀規
【提案の趣旨】
 現在の維持流量は,渇水時に魚が移動又は産卵できる最低限の流量が根拠となっているものが殆どで、また多くの場合年間を通じ一定で変動がありません。このため、良好な漁場環境を保つために、十分な流量が確保されているとはいえない状況です。

 維持流量算出のガイドラインである正常流量検討の手引き(案)には、「流量変動に配慮した正常流量の設定手法については、今後とも調査研究を継続し、その確立に努めることが重要である。」ということが、20年以上も前に記されています。現在においても河川生態系について完全に把握できたとは言えないものの,これまでの間に知見の集積は着実に進んでいます。そこで、次のことを要望いたします。

 新たな維持流量設定手法の検討を始めるための委員会設置を国土交通省に要望します。また現行の設定手法について検討が必要か否か、環境省と水産庁にご意見を伺います。

議案の3
地域おこし協力隊の漁協活動での活用および活動範囲の拡大について
東海ブロック(三重県)
三重県内水面漁業協同組合連合会 副会長理事 渡邊 典浩
【提案の趣旨】
 現在、国内の殆どの内水面漁業協同組合で高齢化による組合員の減少と人材確保が大きな問題となっているなか、三重県の漁業協同組合では、総務省管轄の「地域おこし協力隊」の制度を活用し、地域おこし協力隊を町から漁協に委嘱していただいて、監視活動や河川清掃、イベントの実施や広報等を主体的に実施している漁協があります。当該漁協は実質的に無料で漁協活動を行う人材を確保できているため、事業運営に大きなプラスの効果をもたらしています。

 しかしながら、内水面漁協の振興のために活動している地域おこし協力隊員は全国的にとても少なく、この制度を有効に活用できていないことがとても勿体なく感じています。また、地域おこし協力隊の活動目的は所属する各市町村の地域おこしを図ることであるため、幾つかの市町村に区域が跨る漁協においては、活動の幅を拡げにくい制度体系となっています。加えて、地域おこし協力隊の活動では横の繋がりがあまり無く、他地域の有効な活動内容を詳細に見る機会が殆ど無いのが実情です。

 このような問題点を解決しつつ内水面漁業の振興を図るためには、地域横断的な組織化をすることで情報の流通化を図り、他の漁協との地域連携により活動内容を効果的に実施する機会を増やすべきであると考えられます。

 以上のような状態を鑑み、国、地方自治体、全国内水面漁業協同組合連合会および関連機関に以下の事項を要望し、より良い状態で漁協活動が行えるよう環境整備を進めていただきますよう要望いたします。     

1. 各漁協が地域おこし協力隊の導入を検討・推進できるよう、必要な情報提供を行うこと。
2. 国内で活動している地域おこし協力隊の活動を地域横断的かつ有効に進められるよう、内水面に係る地域おこし協力隊の組織化、活用可能な予算や他地域の活動等の情報提供を図り、支援すること。

議案の4
外来生物および漁業被害を与える種への対策強化について
東海ブロック(三重県)
三重県内水面漁業協同組合連合会 構造改革コーディネーター 齊藤 宏和
【提案の趣旨】
 内水面漁業に影響を与える外来生物については、特定外来種に指定されているオオクチバス、コクチバス、ブルーギルを主として、水産庁や環境省による調査や駆除の予算が組まれており活用されています。しかしながら、環境省が外来生物法にて規定している種がかなり多いのに対して、現時点で外来生物の調査や駆除について補助対象となっている種は多くないのが現状です。

 我々が安全安心して内水面を利用できる河川環境を維持し利用増進を図っていくうえでは、外来生物であっても補助対象となっていないカミツキガメなどの安全性に懸念のある種については、全国内水面漁業協同組合連合会としても対応を進める姿勢を見せておくべきではないかと思われます。また、既に外来生物法にて規定されているその他多くの種についても、対象範囲を拡げて補助し、対策をしっかりと進めていくべきと考えます。

 また、外来生物ではないものの漁業権対象魚種に大きな被害を与える種やヤマトビケラ類などアユ資源に影響を与える種などについても、補助対象や調査対象としていただけないものかと思います。

つきましては、全国内水面漁業協同組合連合会に以下の事項を要望し、関連各機関に強く働き掛けを進めていただきたく存じます。

1. オオクチバスなど既存の補助対象種への駆除等予算を今後ともしっかり確保していくこと。
2. 現時点で補助対象となっていない外来生物の種について、補助対象の範囲を拡大すること。
3. 外来生物ではないが漁業被害を与える種についても、補助対象や調査対象に含めること。

議案の5
河川環境の保全と維持のために必要となる対策について
近畿北陸ブロック(富山県)
富山県内水面漁業協同組合連合会 事務局長 佐藤 建明
【提案の趣旨】
 北陸地域では、高低差を利用した水路式水力発電や農業用取水等により、取水口から下流は、流水量に大きな変化が生じ、河川流量の少ない時期は、河川を維持するための最低流量(維持流量?)が流れているのが現状です。また、枯渇している河川も見受けられます。
このような状況下では、古来から生息している淡水魚類や河川を遡上・降下する特徴を持った魚類に顕著な悪影響を与えています。

 河川における水利用は、現代社会の中では必然なこととして充分に認識していますが、あまりにも既得水利権で固められているため、現況の水利権管理された流水量では、河川に生息する魚類への影響が大きく、均衡のとれた良好な河川環境とは言えません。

 一方、我が国の人口は縮小期に入り、今後ますます減少が見込まれ、今後50年で7割にまで減少するとされています。こうした社会構造の変化を的確にとらえ、水利用のあり様を考え直すことが重要と考えます。

 こうしたことから、今ここで、河川環境の保全・維持・改善のため、「環境保全水利権の創設」を要望します。

議案の6
養殖等を行う内水面漁業協同組合への災害復旧支援について
中国ブロック(山口県)
山口県内水面漁業協同組合連合会 事務局長 門永 圭史
【提案の趣旨】
 近年、地球温暖化の影響と思われる豪雨災害が頻発しています。特に河川に近接している内水面漁業協同組合の養殖施設が、甚大な被害を受けることが多くなっています。

 浸水被害を受けると、配電盤やポンプ等の電気関係施設、自動給餌機やブロアー等機器類、配合飼料や薬品、その他各種養殖器具類、そして、育成していた放流用種苗や養殖魚等多くのものが失われ、その復旧には多額の費用が必要となります。

 施設の復旧経費については保険や補助金等である程度補填できますが、死亡あるいは散逸した放流用種苗や養殖魚等の被害補填はすべて自己負担となっています。

 また、災害復旧等のための補助金申請手続きの煩雑さも、組織の小さい内水面漁業協同組合にとって大きな負担となっています。

 そこで、豪雨などによる自然災害を受けた内水面漁業協同組合への支援として、施設復旧だけでなく、死亡、散逸した養殖魚や放流用種苗等の被害補填に対しての支援等も可能な、補助金申請手続きが容易で、補助率が高い助成制度の創設が必要と考えられます。

 被災した内水面漁業協同組合が災害復旧費の圧迫によって組合経営が破綻することのないよう、迅速かつ具体的な支援を要望します。

議案の7
国による抜本的なカワウ対策について
四国九州ブロック(熊本県)
熊本県内水面漁業協同組合連合会 事務局 坂梨 真樹
【提案の趣旨】
 近年のカワウの増加に伴うアユ・ウナギ等の漁業被害は拡大傾向にあります。

 そのため、全国の漁連・漁協がどのように対応すればカワウ被害を軽減できるのか、国に抜本的な対策を示してもらうように要望いたします。

 また、その対策を推進するために必要な国の予算を拡充するとともに、九州にもカワウ広域協議会を設置し、全国の都道府県が連携した広域的な取り組みを強化することを要望します。





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