全国内水面漁業協同組合連合会
奥日光湯の湖・湯川


鯉の味ごよみ。 春夏秋冬

 小野小町も食べていた「鯉料理」
 
 
鎌倉時代、吉田兼好の書いた「徒然草」には「鯉のあつもの食ひたる日は、鬢(びん)そそけずとなん。(にわか)にもつくるものなれば、ねばりたるものにこそ。」とあります。
 これは、鯉の汁物を食べた日は、髪もほつれず、乱れたりしない。にわかを作る材料にもなるのだから、鯉には粘りがあるのだろうという意味です。
 
 確かに鯉にはにわか質(ゼラチン)が多く含まれています。これはコラーゲンともよばれるタンパク質の一種で、その保湿性から美容効果の高いものとして最近、注目をあびています。
 私たちの体の細胞間の水分はコラーゲンによって保たれています。ですから、コラーゲンが多いほど肌がしっとりし、若々しい肌を維持するには、コラーゲンを補給すればいいわけです。
 
 ところで、美人として語りつがれている小野小町も鯉を美容食として食べていました。これは平安時代の「玉造小野小町壮意書」という本に書かれています。

永山久夫(食文化研究家)

◆鯉のおろし方


骨切りは、約3cmの幅の中に8〜10筋の切り込みが適当です。


フライや蒸しゆでにする場合は、4〜5cmに切るのが適当です。



寒天よせ等は、約2cm幅に切るほうが無難な仕上がりになります。
 鯉のシメ方がうまくいかないと味にも影響を及します。コツをきちんと覚えましょう。

@鯉がはねないようにふきんをかぶせて左手で押さえ、目と目の間を包丁の背でたたいて気絶させ、ウロコを包丁でそぎ取ります。

A頭を切り落とし、胸ビレからウロコを3〜4枚目の下にある胆のうを、切り口から引き出します。(つぶしてしまった場合は水で洗い流します)

B「筒切り」は、頭から約3cmのところから輪切りにします。
 「3枚おろし」(上身という)にする場合は、腹骨をすき取ってから使います。日本の鯉料理では、通常背開きの「3枚おろし」にします。
鯉の骨切り
 骨切りは、鯉の皮を下にして、腹側を手前にして右から左へと包丁を進めます。骨は皮の近くにあるので、“ザクザク”という音がするように、しっかり包丁を入れましょう。
 鯉の皮はとても丈夫ですから、ほかの小さな魚のように簡単に切れません。力強くしましょう。


◆鯉の下ごしらえ
 鯉は、小骨が複雑に入り組んでいる魚ですから、食べるとき、骨が口の中で邪魔にならないよう、骨切りは、料理する前の忘れてはならない下準備です。筒切りにする場合も、身を開いて中骨を取り、骨切りをしてから再度筒型にして調理するほうがよいでしょう。骨切りをせずにそのまま筒切りにする場合は、小骨までやわらかくなるような調理法(たとえば揚げる)をおすすめします。
 さらに、鯉を調理する場合、和風なら酒やしょうが汁、洋風でしたらコショウやマスタード、タイム、バジルなどの香辛料で下味をつけておくと、鯉の持つ独特の新しい味が楽しめます。



〜春は花や野菜といっしょに、みずみずしく〜


■鯉の菜の花揚げ

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・菜の花1/2束・レモン1/2個・揚げ油適宜・天ぷら衣{小麦粉1カップ・卵1個・水3/4カップ}

作り方
@鯉は骨切りしをしてから3cm幅に切る。
A菜の花は5〜6cmの長さに切る。
B油を熱しておき、{}の材料を合わせて天ぷらの衣を作り@につけて揚げ、Aを束ねて衣をさっとつけて房揚げにする。
CBを器に盛り、レモンとしょうゆを添える。
 
■筍と鯉の煮物

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・ゆで筍150g・削り節40g・ふき1本・木の芽4〜8枚・塩適宜・みりん大さじ3、淡口しょうゆ大さじ4

作り方
@鯉は骨切りしをしてから約3cm幅に切り分け熱湯をくぐらせる。
A筍は菊花にむき、2cm厚さの輪切りにして鍋に入れ、筍がかぶるくらいの水を加え、削り節を加えて煮る。
BAがやわらかくなったら分量の調味料を加えてさらに煮る。
C途中で@を加え、軽く煮込んで器に盛り、別鍋で煮含めておいたふきを添え、木の芽をあしらう。


〜秋野菜と鯉は抜群の相性、ですから・・・〜


■鯉の梅肉れんこん

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・葛粉適宜・れんこん1筋・梅干し大4個・みりん大さじ2・だし汁大さじ1・酢適宜

作り方
@鯉は骨切りしをしてから約3cm幅に切り分け葛粉を軽くまぶし、熱湯でゆで、冷水にとる。
Aれんこんは薄切りし、酢を加えた湯で軽くゆでて冷ましておく。
B梅干しの果肉を裏ごしにかけ、みりんとだし汁で溶き伸ばし、@、Aをあえる。
 

■鯉とさつま芋の奄美煮

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・さつま芋300g・七味唐辛子少々・だし汁3カップ・赤みそ70g・みりん大さじ2

作り方
@鯉は骨切りしをしてから約4cm幅に切り分ける。
Aさつま芋は皮付きのまま2cm幅に筒切りし、いったん水にさらす。
B鍋にだし汁とAを入れて火にかけ、煮始める。途中でみそとみりんを半量加える。
Cさつま芋がやわらかくなったら@を入れ、残りの調味料も加え、数分間煮て仕上げ、最後に七味唐辛子をふる。


〜冬は、ほくほく あったかい食卓がいちばん〜


■鯉と大根の田舎煮

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・小麦粉、揚げ油各適宜・大根1/2本・だし汁3カップ・砂糖大さじ2・しょうゆ大さじ3・酒大さじ1

作り方
@鯉は骨切りしをしてから約3cm幅に切り、小麦粉をふって、熱した油で揚げる。
A大根は2cm幅に筒切りし、米のとぎ汁で下ゆでしてからだし汁で煮る。
BAに調味料を全部加え、数分煮たら@を入れ、再び軽く煮て仕上げる。
 

■鯉のとろろ蒸し

材料(4人分)
鯉(3枚おろし身)1尾分・塩、酒各少々・しょうが汁小さじ2・山芋60g・卵白1/2個分・わさび適宜・{だし汁1/3カップ・みりん、しょうゆ各大さじ1と1/2}

作り方
@鯉は骨切りしをしてから約4cm幅に切り、塩、酒、しょうが汁で下味をつける。
A山芋をすりおろし塩少々と卵白を加え、@の上にかけ、強火で7〜8分間蒸す。
B{}の調味料を合わせて別鍋でそばだしを作り、おろしわさびとともに添える。


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