全国内水面漁業協同組合連合会
奥日光湯の湖・湯川


第65回全国内水面漁業振興大会報告




 第65回全国内水面漁業振興大会を、令和6年11月14日宮城県仙台市の「江陽グランドホテル」において開催しました。

〜より良い復興の希求!東北(みちのく)から能登へ!〜、〜川の中 のぞいてみたら 微笑んだ 自まんの川は みんなの宝〜(第23回全国川づくり標語コンクールの最優秀作品)をスローガンとして約430人が参加しました。

  宮城県内漁連の宍戸宗理事が開会を宣言し、全内の滑川幸男会長代理(副会長理事)の主催者挨拶、宮城県内漁連の佐藤仁一代表理事会長より開催担当挨拶を行いました。

 来賓として、宮城県知事(小林徳光副知事代読)、宮城県議会議長(本木忠一副議長代読)、水産庁増殖推進部の橋広道部長、国土交通省水管理・国土保全局長(河川環境課の小島優課長代読)、環境省水・大気環境局長(環境管理課の𠮷川圭子課長代読)の皆様からご祝辞をいただいたほか、多くのご来賓にご出席をいただきました。

 来賓及び執行部紹介の後、議長団として宮城県内漁連の及川善祐理事、岩手県内漁連の佐藤由也代表理事会長、福島県内漁連の阿部廣副会長理事の3名が選出されました。

 前年度議案の処理報告に続いて、全国6つのブロックから提出された8議案の発表があり、全て採択されました。その後、各議案に対して各省庁からコメントを頂き、宮城県内漁連の佐々木武雄理事による大会宣言が満場一致で採択されました。

 最後に、宮城県の鳴瀬吉田川漁業協同組合の佐々木和雄代表理事組合長による閉会の辞により盛会のうちに閉幕となりました。

 会場では、宮城県と国立研究開発法人水産研究・教育機構による内水面に関する研究成果等のパネルが複数展示され、参加者の関心を集めていました。

 大会終了後同会場で懇親交流会が開催され、全内の谷公一代表理事会長、宮城県内漁連の佐藤仁一代表理事会長の挨拶に続き、江島潔参議院議員(内水面漁業振興議員連盟副幹事長)、庄子賢一衆議院議員(農林水産大臣政務官)、から来賓の挨拶を頂きました。全内の渡部完副会長理事の乾杯により、賑やかに開催されました。

 懇親交流会の中盤では、片山さつき参議院議員(内水面漁業振興議員連盟副幹事長)が駆けつけ、懇親交流会参加者と、舞台でアトラクションのすずめ踊りを演舞されました。宮城県の迫川漁協吉田甚一代表理事組合長が中締めの挨拶を行い、伊達の一本締めを行って閉会となりました。

 次年度は、石川県で開催する予定です。


◆◆◆ 提 出 議 案 ◆◆◆

議案の1
北国の魚を恒久的に守り存続させる対策について東北・北海道ブロック(秋田県)
秋田県内水面漁業協同組合連合会 
代表理事会長  湊屋 啓二
【提案の趣旨】
1.日本固有魚種の代表格であるイワナ、ヤマメ、ウグイ等に大きな食害を及ぼしているブラウントラウトは、急速に生息域を拡大しており在来種への影響は看過できない状況となっております。抜本的な対策の支援を要望いたします。

2.秋田県では、サクラマス(河川残留型はヤマメ)は内水面漁業の最重要魚種の一つであり、昨今のサクラマス釣り人気に比例し大きな収入源となっております。同時に海面においても遊漁船や個人のプレジャーボートでのサクラマスジギング、沿岸からのルアー釣りなどが広く行われています。海の漁業者による刺し網、定置網での捕獲も合わせると膨大な量になります。統計上年々減少しているサクラマス資源の枯渇を懸念しております。こうしたことからサクラマス資源の増殖を内水面だけに課すのではなく、増殖経費の一端を海面漁協や遊漁船にも担って頂くよう要望します。

議案の2
緊急浚渫推進事業について
中央ブロック(山梨県)
山梨県漁業協同組合連合会 
参事 大浜 秀規
【提案の趣旨】
 近年各地の河川で浚渫・伐木が行われ、河道が直線化・平坦化、石も撤去され、濁りが常態化するなどして、魚の生息環境が急速に悪化しています。

 浚渫・伐木により流下能力を確保し治水安全度が向上することは、地域住民として大変有り難いことです。ただし、防災事業においても河川法の目的となっている「河川環境の保全」を踏まえて、事業を実施すべきと考えます。

 つきましては、伐木・浚渫事業の実施箇所すべてにおいて、多自然川づくりに基づき、「現在の流路形状の維持、大きな石の存置、濁りの発生抑止」を基本とし、治水と環境が両立する施工を要望します。

 具体的手続きとして、国土交通省において事業計画確認の際、「浚渫業務においても多自然川づくりに基づく施工を行うこと」をチェックした上で、事業実施主体宛て文書へも明記し、周知することをお願いします。

議案の3
カワウ管理・被害対策の県境を越えた個体数管理について
東海ブロック(岐阜県)
岐阜県漁業協同組合連合会 
副会長理事 安藤 宗一
【提案の趣旨】
 「カワウ管理・被害対策」の展開について、次のとおり方策の拡充・強化を要望します。

一、隣接県間との連携をすすめ、県境を越えた個体数管理が行えるよう国・地方公共団体・漁業協同組合(連合会)・猟友会等の関係機関が情報を共有し、駆除体制を整えるための仕組みを構築、可視化する。

二、コロニーの位置による被害範囲の想定をし、隣接県間における駆除計画の策定をする。

三、カワウの被害対策は銃器による駆除が最も有効であるが、銃器の使用が難しい場所においては、ドローン等を利用した繁殖抑制を広域的に取り組めるよう、隣接県間で協働する。

四、カワウ駆除に対する隣接県予算を別枠にて行い、現在行っている県内予算を減らさぬよう支援拡大を要請する。 

議案の4
リニア中央新幹線の建設に係る内水面漁連の対応について
東海ブロック(三重県)
三重県内水面漁業協同組合連合会 
代表理事会長 渡邊 典浩
【提案の趣旨】

以下の事項を要望し、関連各機関に強く働き掛けを進めていただきたく存じます。

1.リニア中央新幹線の東京から名古屋の区間の工事にあたり、各河川への影響に関する当初予測および現時点で把握している水資源への影響について示すこと。

2.今後推進される予定である名古屋から大阪への延伸に関して、水資源への影響予測および対応について示すこと。

議案の5
渓谷の機能の保全を包含した森林整備の推進と森林関係財源の活用について
近畿・北陸ブロック(兵庫県)
兵庫県内水面漁業協同組合連合会 
参与 吉田 忠弘
【提案の趣旨】
 渓谷の機能を保全するために以下の施策を推進するとともに、その財源として森林環境譲与税等を活用することを要望します。

 ・荒廃渓谷の実態調査

 ・渓畔林や渓谷生態系の保全、復元

 ・林道、作業道からの土砂、濁水の流出防止

議案の6
内水面漁業の魅力の啓発活動について
近畿・北陸ブロック(石川県)
石川県内水面漁業協同組合連合会 
副会長 一二三 秀仁
【提案の趣旨】

 河川環境の悪化や昨今の豪雨等の影響もあり、子どもたちが川で遊ぶ、ということが少なくなってきている。川は危険なものという意識が根付くと、将来の内水面漁業及び河川環境の保全に多大なる影響を及ぼすと考える。

 川は危険なものではなく、生命を保護するために欠くことのできないもので、自然の大切さを学ぶ貴重な場だということを、子どものころから体験学習や学校教育の課外授業のひとつに組み込むなど、国が川や内水面漁業の魅力の啓発を一層推進することを要望します。 

議案の7
アユ資源の増大による活力ある内水面漁業の回復について
中国ブロック(岡山県)
岡山県内水面漁業協同組合連合会 
専務理事 萱野 泰久
【提案の趣旨】

アユ資源の回復・増大により内水面漁業を活性化させるため、下記事項について、速やかな実現を図られるよう提案・要望する。

1.河川管理者は、出水や河川工事の影響で、アユ漁場としての価値が著しく低下した箇所に対して、環境復元や人工的改変などを速やかに実施すること。

2.河川管理者、利水者等は、堰の設置に伴い河口域に形成された「湛水域」(河川の流れが滞った場所)を解消するための対策を講ずること。

3.また、機能が低下しアユ等の遡上を妨げている魚道の改良や堰の改修・撤去に努めること。

4.山・川・海をつなぐ環境修復等の対策を進めていくため、森林環境税等の活用を検討すること。

議案の8

漁業権と水利権の棲み分けについて
四国・九州ブロック(鹿児島県)
鹿児島県内水面漁業協同組合連合会 
理事 宮田 幸一
【提案の趣旨】

@ 農業用の水利ばかりに気が配られ、水の取り過ぎにより、魚道に水が無く、河床も干上り、鳥の餌(え)ばとなり、漁業権の維持に支障を来す。
よって国として、内水面漁業振興の為に河川管理者に対して正常流量の適正化に向けて指針を示して欲しい。

A 河川の中に農業用水路の頭首工があり、漁業権指定魚族が頭首工より、農業用水路に入った場合、内水面漁業の漁業権は消滅してしまい、内水面漁業運営に悪影響をもたらしている。頭首工から漁業権指定魚族が入り込まない様、頭首工にネットを張る等の対策を講じるよう国より農業団体に指導される様、強く切望する。





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