第63回全国内水面漁業振興大会を、10月20日に静岡県伊東市「伊東市観光会館」において開催しました。〜川で楽しく魚つり 帰りは川で ごみ拾い〜(第21回全国川づくり標語コンクールの最優秀作品)をスローガンとして約430人が参加しました。
静岡県内水面漁連の鈴木敏夫副会長理事が開会を宣言し、全内の滑川幸男副会長理事の主催者挨拶、静岡県内水面漁連の森田禮治代表理事会長より開催担当挨拶を行いました。
来賓として、農林水産大臣の野村哲郎参議院議員(水産庁の廣野淳増殖推進部長代読)、農林水産副大臣の勝俣孝明衆議院議員(秘書代読)、内水面漁業振興議員連盟副幹事長の牧野たかお参議院議員、渡辺周衆議院議員(秘書代読)、静岡県知事(経済産業部の田中伸弘部長代理)、静岡県議会の和田篤夫副議長、伊東市の小野達也市長、国土交通省水管理・国土保全局長(河川環境課の豊口佳之課長代読)、環境省水・大気環境局長(水環境課の大井通博課長代読)の皆様からご祝辞をいただいたほか、多くのご来賓にご出席をいただきました。
来賓及び執行部紹介の後、議長団として静岡県内水面漁連の森田禮治会長、三重県内水面漁連の山端 武彦会長、岐阜県漁連の玉田和浩会長の3名が選出されました。前年度議案の処理報告に続いて、全国6つのブロックと全国内水面養殖振興協会から提出された8議案と、静岡県内水面漁連の嶌本淳司専務理事による大会宣言が満場一致で採択されました。
最後に、静岡県内水面漁連の鈴木敏夫副会長理事による閉会の辞により盛会のうちに閉幕となりました。
会場では、国立研究開発法人水産研究・教育機構による内水面に関する研究成果等のパネルが複数展示され、参加者の関心を集めていました。
次年度は、群馬県で開催する予定です。
議案の1
洋上風力発電と内水面漁業との関係について
東北・北海道ブロック(秋田県)
秋田県内水面漁業協同組合連合会 代表理事会長 湊屋 啓二
【提案の趣旨】
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域利用の促進に関する法律により、洋上風力発電設備の整備促進区域の指定は「漁業に支障を及ぼさないことが見込まれること」とされているにも拘らず、現在、長崎県、千葉県、秋田県などで推進されている洋上風力発電の整備については、海域利用の面から海面漁業が重視され、内水面漁業に対する配慮が欠落し軽視される現状にあります。
このため、国の関係省庁においては、海面と内水面のつながりをしっかり認識し、合意プロセスの初期から内水面漁業関係者を法定協議会等に参加させること、法定協議会への参加が困難な場合でも内水面漁業者の意見等を法定協議会等に反映させる場を作ること、さらに都道府県に対しては、法定協議会等へ内水面漁業関係者の参加を積極的に働きかけるよう助言指導することなどを強く要望します。
議案の2
内水面漁業、養殖業にかかるコスト高騰対策について
中央ブロック(栃木県)
全国内水面養殖振興協会
栃木県漁業協同組合連合会 専務理事 加賀 豊仁
【提案の趣旨】
内水面漁業は地域の伝統的な産業であると同時に、釣り人の誘客や養殖魚の旅館、飲食業等への提供を通じて、中山間地域をはじめとした農山村地域の活性化に貢献するものであり、なくてはならない存在ですので、近年の著しい生産コストや放流コストの増大に対する支援策の導入を要望します。
加えて、種苗価格高騰対策にもつながる電気料金や燃油価格、配合飼料価格抑制や電気料金高騰対策としてのセーフティネット事業の創設、養殖用配合飼料価格安定対策事業における国の補填割合増大等の支援策の拡充に向けた積極的な施策展開を要望します。
議案の3
渓流に設置される迂回配管を用いた小水力発電について
中央ブロック(埼玉県)
埼玉県漁業協同組合連合会 代表理事会長 松本 泉
【提案の趣旨】
昨今、再生可能エネルギーの導入促進のため、小水力発電設置においても水利使用手続の円滑化・簡素化を図る措置が取られています。この緩和により、これまで手続きの煩雑さに二の足を踏んでいた団体も、各所で活動を始めようとしています。
その中で、昨年、本県で初めて渓流域の堰堤に、小水力発電が設置されました。設置された区間には、第5種共同漁業権が設定されていますが、着工にあたって漁業権者の正式な同意が得られていません。
現在、複数の小水力発電の設置にあたっての調査が進んでおり、漁業権者の同意なしで設置されることを懸念しています。
このため、渓流に設置される小水力発電について、以下の点を地方公共団体及び発電事業者に周知徹底されるよう要望します。
〇漁業権が設定されている区間では、必ず事前に漁業権者と協議しその同意を得ること。
議案の4
カワウ被害対策の支援拡充強化について
東海ブロック(岐阜県、三重県)
岐阜県漁業協同組合連合会 副会長理事 尾藤 義昭
【提案の趣旨】
「カワウ被害対策」の展開について、下記のとおり方策の拡充・強化を要望します。
一、 国・地方公共団体・漁業協同組合・猟友会等の関係機関が情報を共有し、それぞれの役割分担を明確にして連携強化を図る仕組みを構築すること。
二、 コロニー等繁殖拠点や産卵場における捕獲は、特定猟具(銃)使用制限区域の緩和等を含め、国・県が中心となって適切に取り組むこと。
三. カワウの被害対策は狩猟期間中であっても有害鳥獣駆除期間と同様の取り組みを可能とし、さらなる支援の拡充強化を図ること。
四. ドローンなど先端技術を活用したカワウ防除技術の導入を支援すること。
議案の5
アユ等の水産資源に配慮した河川管理について
近畿北陸ブロック(和歌山県)
和歌山県内水面漁業協同組合連合会 総務主任 佐古 充
【提案の趣旨】
近年、河川環境はアユ等の水産資源にとって好ましくない状態になっています。特にダム下流域では、濁水の長期化が問題となっており、その対策が急務です。また、洪水やそれに伴う災害復旧工事によりアユの好漁場の喪失が顕著であり、遡上または放流した稚アユを有効に活用できていないものと思われます。
そのため、濁水長期化の解消をはじめ、アユ等の水産資源に配慮したダムの放水方法について、研究・運用を国等の関係機関に要望します。
また、アユ等の好漁場や産卵場を維持・復元するような河川管理の確実な実施について、河川管理者等関係機関に要望します。
議案の6
「7月7日 川の日」を活用した川・湖の恵みへの理解促進とその振興について
近畿北陸ブロック(福井県)
福井県内水面漁業協同組合連合会 代表理事会長 原田 進男
【提案の趣旨】
平成8年に「川の日」が制定され、四半世紀が経過しました。この間、国に対して幾度も祝日化実現の要請を実施して参りましたが、未だ国民の祝日となっていません。
ついては、国に対して「川の日」を国民の祝日とすること並びに「川の日」関連で実施する地域住民を巻き込んだ活動に対して、財政的なご支援、ご協力を要望いたします。
議案の7
湖沼において過剰繁茂する水草および藻類への対策について
中国ブロック(島根県)
島根県内水面漁業協同組合連合会 副会長
宍道湖漁業協同組合 代表理事組合長 渡部 和夫
【提案の趣旨】
島根県東部に位置する汽水湖の宍道湖の浅場では、水草や藻類が水域一面を覆いつくし、湖底に蓋をするような状況となっています。
水草や藻類が大量に繁茂するとシジミ漁場の減少だけでなく、水質への影響やそれに伴うシジミのへい死、船舶の航行障害、悪臭による住民の生活被害や観光への被害など多岐にわたる問題が生じています。
漁業者による人的な除去作業にも限界があり、効果的な水草や藻類の除去による、宍道湖の水環境の改善に向け公的機関の対応を要望します。
議案の8
カワウの防除に対する補助率の定額化と規制緩和について
四国九州ブロック(愛媛県)
愛媛県内水面漁業協同組合連合会 参事 西田 志朗
【提案の趣旨】
水産庁の補助事業「内水面水産資源被害対策事業」の中の、広域連携カワウ被害防止対策について、補助率の定額化を要望します。
また、カカシの設置やテグス張り、また笹伏せによる魚類保護活動といった防除活動を実施する場合、河川占有許可の手続きが困難であることから、手続きの簡略化等、規制緩和の措置を要望します。