ホンマス



ホンマス

 この魚の正式な名前はなく、中禅寺湖でこのように呼ばれています。では、どうしてこのような魚がいるのでしょうか。それは、中禅寺湖への魚の移殖の歴史が関係しています。かつては中禅寺湖には魚が棲まなかったといわれており、明治の初期に初めてイワナなどが放流されました。その後、いろいろな魚が放流されましたが、その中で琵琶湖からアメノウオ(ビワマス、アマゴの仲間)や、同じ仲間であるサクラマスやヤマメなども移殖されました。その結果、現地での自家生産(人工授精)の中で交雑が行われ、できあがったのがこのホンマスで、ビワマス(アマゴ)とサクラマス(ヤマメ)の中間種といえます。アマゴとヤマメの代表的な違いは、体側に朱点があるかどうかにありますが、このホンマスの仔魚にはこの朱点を持つものと、持たないものとが現れ、いかにも中間的な特徴を表しています。しかし、成魚になると銀白色になり区別が難しくなりますが、サクラマスに似ています。産卵期になると、雄の特徴が一層強く現れます。わが国で似た種類としては、木崎湖(長野県)のキザキマスがあります。

(農学博士・奥本直人)

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